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河田教授の減災コラム

第5話

スーパー広域災害の南海トラフ巨大地震
日本の半分が被災に見舞われる

海トラフ沿いの地震が30年以内に起こる確率は、およそ70%以上と非常に高い発生確率になっています。古くは684年に南海道で大きな地震があったと日本書紀に書かれており、それから今日までに8回も発生しています。江戸時代に入ってから1605年、1707年、1854年と3度地震が発生。特に東海地震は1854年に地震が起こってから150年以上起こっていないということでいつ起きてもおかしくない状況です。

南海トラフ巨大地震の震度6弱以上の被災地域には約4700万人もの人が住んでおり、さらに震度6弱以下で津波3m以上の被災地域に1200万人、合わせて5900万人と日本人口のほぼ半分にものぼります。犠牲者数も最大で約32万人、被害総額は220兆円にも達する可能性があります。災害救助法が約700もの市町村に発令される「スーパー広域災害」となることが予測され、国難と呼ばれるものになりかねません。あまりに広域なために救援は、人的にも時間的にも物量的にも困難を極め、長期に渡り孤立する市町村が多発することが危惧されています。



出典:内閣府 南海トラフ巨大地震対策協議会
『南海トラフ巨大地震対策について(最終報告)震度の最大値の分布図より』平成25年5月


〔資料〕内閣府「南海トラフの巨大地震モデル検討会」(2012.8.29)
記者発表資料 1−2都府県別市町村別最大津波高一覧表<満潮位>


和歌山県の串本には高さ10mを超える津波の第一波が5分できます。一方、和歌山市内は津波到達まで約40分の時間があります。津波が紀伊海峡を越えて大阪湾に入りますと大阪には津波が約4mになり、水門が閉まっていても乗り越えて来てしまいます。(一部地域では4mを少し超えるために切り上げてグラフでは5mと表記しています。他の地域も同様の表記)
兵庫県では明石に向かって津波の高さ約4mです。これまで想定していた津波の高さを上回る津波が襲ってきます。
奈良県は海がない。津波がこないから大丈夫でしょうか?そんなことはありません。奈良盆地は全体に震度6弱の揺れが襲ってまいります。奈良盆地は液状化が起こりやすい土地ですから住宅全体が大きな被害を受けることを考えておかねばいけません。
京都滋賀も震度6弱の揺れです。内陸の方は津波も来ないから大丈夫だろうと思っているととんでもない揺れに3分以上襲われる事態に陥る可能性があるのです。
瀬戸内海流域も3m以上の津波が来ます。岡山、広島、山口に香川、愛媛も3m以上の津波が来ます。高知県の黒潮町には最大で約34mもの大きな津波が10分で襲ってきます。
九州も宮崎県や大分県南部には20分後に5mを越える津波が襲来。大分県から鹿児島県の東側沿岸にかけて最大17mもの巨大な津波の恐れがあります。
被害が最も大きいとされる静岡県では、南伊豆町では高さ20mの津波が7分で到達。下田市には最大33メートルもの高さの津波の危険が予測されています。

津波は地震が起こってから5、6波大きなものが繰り返し、6時間は襲って来ます。避難所にいたら6時間は家に戻ってはいけません。例えば大阪湾では満潮と干潮が6時間ごとに起こり、満潮と干潮で海面の高さが1m60cmくらい違います。第一波が海面の下がった状態で来たら堤防は乗り越えません。ところが6時間たって満潮と重なると海面が高くなり、堤防を乗り越えてきてしまうので気をつけなければいけません。
東日本大震災の時、千葉県の九十九里浜では18人の市民が亡くなられました。全員第3波の津波に襲われたのです。第3波の津波は5時半にやってきました。あの地震は2時46分の発生ですから、それから3時間も後にやって来た第3波の津波に襲われたのは何故でしょうか? 第1波も第2波も津波は小さかったのです。だから避難所から一旦家に帰った方が第3波の津波が大きくて、家ごと流され18人もの方がお亡くなりになられたのです。第1波第2波が小さいからと言って、安心して家に帰ってはいけないのです。津波避難ビルや小中学校などに避難したら、念のために6時間は我慢してじっとしていることが大事です。このことは津波地震から命を守るために肝に銘じていただきたいことです。

私たちは大きな津波が来るからと言って、諦めて絶望的になるわけにはいきません。助けられる人を1人でも多く救う準備をしなくてはいけません。避難路を整備して早く逃げれば助かることがわかっているからです。自分が住んでいるところで、働く職場で、減災のための様々な努力を重ねていくことが命を左右する、とても大切なことなのです。


河田恵昭氏 Profile
関西大学社会安全学部・社会安全研究センター長・特別任命教授 工学博士 京都大学名誉教授。専門は防災、減災、縮災。阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター長(兼務)のほか京大防災研究所長を歴任。21世紀COE拠点形成プログラム「災害学理の解明と防災学の構築」拠点リーダー。大都市大震災軽減化プログラム(文部科学省)研究代表者。2009年 防災功労者内閣総理大臣表彰、2017年アカデミア賞受賞。現在、中央防災会議専門委員、防災対策実行会議委員。日本自然災害学会および日本災害情報学会会長を歴任。(2017年4月現在)

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