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太陽光発電採用者 震災後の意識と行動変化

2011年8月22日
株式会社住環境研究所

積水化学工業株式会社住宅カンパニー(プレジデント:高下貞二)の調査研究機関である株式会社住環境研究所(所長:倉片恒治、千代田区神田須田町1-1)は、このほど太陽光発電(以下PV)採用者の東日本大震災による省エネ意識・行動の変化を明らかにすることを目的に「PV採用者 震災後の意識と行動に関する調査」を行いました。今年1月に実施した「PV採用者の意識調査」(2011年4月6日発表)の回答者に対して7月に再度アンケートすることで、同一回答者の意識と行動が震災後にどう変化したのかを探ったものです。また、PV非採用者(以下一般)に向けた震災後の節電状況、エネルギーに対する考え方などのアンケート調査を実施(7月)、PV採用者との比較も試みました。

東日本大震災は、かつて経験したことがない程の被害をもたらしました。今回の震災に端を発する電力不足は、電力の使い方や住まい方に変化を与えるのではないかといわれています。今回の調査で明らかになったのは、
(1)震災以降、東京電力エリアでの計画停電の影響や社会貢献意識などから節電行動に積極的に取り組むようになり、節電の意識が大きく変化、(2)PV採用者は一般に比べて電力消費ピーク時間帯に集中して節電しており、節電ストレスは低い、(3)PV採用者周辺の方々は、「光熱費削減」「災害時の安心」が魅力として、PVに関心を寄せている、(4)震災を契機にPV採用者では「蓄電池」、「節電促進メニュー」への関心が一層高まっていることが明らかとなっています。

■調査結果のポイント

1.震災後、節電意識が大きく変化

前回調査では、PV採用前・後で「節電・節約に(やや)努めるようなった」が86%、新買取制度開始前・後では40%と、節電・節約意識はかなり高まることが確認されました。今回の調査では、東日本大震災以降「節電・節約に努めるようになった」「やや努めるようになった」を合わせ、78%がさらに節電努力を重ねていることが明らかになりました。

2.電力消費ピーク時間帯を意識した節電が特徴的

PV採用者の節電実施率は全体的に高く、特に「日中を避けて電化製品を使うようにしている」は一般の2倍以上の実施率となっています。

3.震災後、特に東日本でPVへの関心高まる

震災後、PVに対する周囲の関心が高まっており、「以前よりPVが話題になることが増えた」とするのは東日本で62%、西日本で34%。特に東日本で関心が高まっています。

4.蓄電池や節電促進メニューへ関心

蓄電池に対する関心はPV採用者で「ある程度関心」を含めると91%、一般で84%と高く、節電促進メニューへの関心も前回調査に比べて大きくポイントを伸ばしています。

■調査の概要

調査目的:東日本大震災によるPV採用者の省エネ意識・行動の変化や今後の要望等の把握
調査対象:1月の「PV採用者の意識調査(2009年1~12月セキスイハイム入居者)」回答者
(東日本大震災被災エリア除く)
一般調査はウェブ調査会社のモニターを対象に実施
調査方法:ウェブ調査
調査時期:PV採用者の意識調査2011年7月8~18日、一般調査7月15~21日
有効回答:PV採用者の意識調査716件、一般調査1,037件

■調査結果の概要

1.震災後、節電意識が大きく変化

(1)節電意識の変化

2011年1月の調査では「節電・節約に(やや)努めるようなった」はPV採用前・後で86%、余剰電力の新買取制度開始前・後では40%と、節電・節約意識はかなり高まることが確認されていましたが、今回の調査では、震災後、「節電・節約に努めるようになった」35%、「やや努めるようになった」43%と、更に節電努力を重ねていることが明らかになりました。

1月調査の新買取制度前・後の変化「節電・節約に(やや)努めるようになった」40%、よりも震災前・後の変化(78%)のほうが大きいこと、また、震災後に節電に努めるようになった動機からも今回の節電意識変化は「社会貢献」意識のはたらきが大きいようです。

(2)節電実施状況

PV採用者、一般ともに節電に取り組んでいますが、いずれの分野でもPV採用者が一般を上回ります。特に「(19)日中の電力消費を避ける」は一般の2倍以上の実施率となっているのが注目されます。

時間帯別節電状況でもPV採用者は「電力消費ピーク時間帯(9時~17時)」を強く意識した節電対策を行っています。
PV採用者にとっては、電力消費ピーク時=発電(売電)時間帯であることもあり節電実施率が高く、反対に電力供給に余裕がある深夜を含む時間帯(起床時前後)は一般を下回っています。メリハリある節電が特徴です。
一般もピーク時間帯の節電実施率が最も高いのですが、時間帯別の差は小さく、“時間帯”をあまり意識せず、1日中節電を意識しているようです。

(3)節電ストレス

PV採用者、一般ともに節電にストレスを感じているのは少数ですが、特にPV採用者で少なくなっています(PV採用者10%、一般18%)。PV採用者の節電ストレスがより低いのは、電力消費ピーク時間帯に集中して節電しているためと思われます。

2.震災後、特に東日本でPVへの関心高まる

(1)PVに対する周囲※の反応

震災後のPVに対する周囲の関心は高く、東日本では62%、西日本では34%が震災後、「以前よりPVが話題になることが増えた」としています。

※同居する家族を除く周囲の方々

(2)PVの魅力を感じる点

周囲の感じているPVの魅力は「光熱費削減」88%が圧倒的に高く、次いで「災害時の安心」44%。また「オール電化」32%も4位で、依然として人気があるのが注目されます。

3.蓄電池や節電促進メニューへ関心

(1)蓄電池への関心

今回の震災では、停電がクローズアップされ、注目されたのが蓄電池です。PV採用者で34%(ある程度関心を含めると91%)、一般で24%(同84%)が蓄電池に高い関心を示しています。
蓄電池のタイプは、「非常用」「通常用」ともに関心が高く、「万が一の時の備え」だけでなく、通常時に「昼間に発電した電力の余剰分を蓄えて夜に使う」「深夜電力を蓄えて昼間に使う」などエネルギー自立やピークシフトの用途として関心が高くなっています。

(2)節電促進メニューへの関心

節電促進メニューへの関心は、「類似した他の家庭省エネ工夫の紹介」36%(24ポイント増)、「売電を多くするための工夫の紹介57%(17%ポイント増)、「類似した家庭の光熱費と自宅の光熱費の比較」41%(16ポイント増)などで1月調査に比べて大きくポイント数を伸ばしています。

東日本大震災で高まった節電意識と太陽光発電への期待

3月11日に発生した東日本大震災は、地震の規模、津波、さらには発電所の停止による電力危機等々今まで経験したことがない大災害となりました。住まい方、暮らし方に大きな変化を与えているのが電力の問題で、東京電力エリアでは一時期計画停電を余儀なくされ、節電意識が高まりました。幸い現在までのところ心配されたような事態には至っていないものの、再生可能エネルギーの活用がクローズアップされています。

東日本大震災後、交通機関、企業活動、個人生活でも節電要請が強まる中、住まい方、暮らし方が今後大きく変わろうとしています。その中で太陽光発電(以下PV)採用者の省エネ意識と行動がどう変化したのかを探ったのが今回の調査です。注目したいのは節電ストレスの低さです。前回の調査でPV採用前後や余剰電力の新たな買取り制度前後で多くの方が「節電・節約に努めるようになった」と回答されていましたが、今回の調査では震災前後で、78%が更に節電していることがわかりました。具体的な節電対策の実施率もPV非採用者より高く、かなりの節電努力を重ねているにも関わらず、PV採用者で節電に対して「(やや)ストレスを感じている」方はわずか10%。この結果には正直驚きました。

特に、PV採用者の節電ストレスの低さはどこから来ているのかを見ると、節電の仕方にあることがわかりました。PV採用者は、電力消費ピーク時間帯(9時~17時)に集中して節電しているのです。PV採用者にとってはこの時間帯の節電はソーラーが最も発電する時間帯でもあります。反対に深夜の時間帯での節電はPV非採用者を下回っています。PV採用者の多くが時間帯別電灯契約をされており、時間帯ごとにメリハリある節電を心がけているのが節電ストレスの低い理由といえるのではないでしょうか。また、節電促進メニューに対する要望は、震災前の1月調査に比べて大きくポイントを伸ばしており、特に電力消費の可視化、また、他の家庭との相対比較を含む生活面でのアドバイスなどを求める声が更に強まっています。

今後、住宅の電力利用、住まい方の変革が不可欠と思われますが、その先頭を走るPV採用者に向けて、省エネ技術・情報サービスの提供を継続していくことで、省エネ意識も高まっていくと考えられます。

住環境研究所
所長 倉片恒治

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