間取りコラム集
バルコニーを「毎日使える空間」に!
おしゃれで快適な家づくりのポイント

「バルコニー」は、せっかくつくったのに「ほとんど使わない」「掃除が大変」と後悔する声も少なくありません。毎日使いたくなるバルコニーにするには、暮らしに合った工夫が求められます。
この記事では、バルコニー・ベランダ・テラスの違いから使われなくなるバルコニーの特徴、さらに毎日使いたくなるアイデアやおしゃれなバルコニー活用例まで紹介します。バルコニーの設置を悩んだり検討したりしている人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
バルコニー・ベランダ・テラスの違いをまず把握

「バルコニー」は2階以上に張り出した屋外スペースで、屋根がないのが特徴です。「ベランダ」は、同じく2階以上の室外にあり、屋根がかかっている空間を指します。一方「テラス」は、1階に設けられた庭続きの屋外スペースを指すのが一般的です。
見た目は似ていても、設計の考え方や使い勝手はそれぞれ異なるため、まずは違いを整理しておくことが大切です。
なお、近年は屋根のあるバルコニーを「インナーバルコニー」と呼ぶケースも増えています。呼び名はメーカーや住宅会社によって少しずつ異なるため、設計時には意味を確認するのが安心です。
「バルコニー、どう使う?」から始める設計の考え方

バルコニーをつくるか迷ったときは、「つくるかどうか」よりも「どう使うか」を考えることが先決です。暮らし方に合った目的と現実的な使い勝手、この2つを軸に設計することで、満足度の高い空間になります。
バルコニーに求める役割を明確にする
バルコニーをどう使いたいかは、人それぞれです。デッキを敷いて「第二のリビング」のようにくつろいだり、ベランダでキャンプ気分を楽しんだりと、おしゃれな活用を目指す人もいれば、家庭菜園や物干しスペースなど、実用性を重視する人もいます。
どの使い方も魅力的ですが、あれもこれもと詰め込みすぎると、結局どの用途も中途半端になりがちです。まずは、自分たちの暮らしにとって「何を優先するか」をはっきりさせることが、後悔しないバルコニーづくりの第一歩になります。
「憧れ」と「現実」のギャップ
バルコニーはカタログやSNSで見ると、おしゃれで気持ちよさそうな空間に見えることが多いものです。しかし、そのイメージだけで計画を進めると、暮らしとのズレが生じることもあります。
たとえば、室外機の設置場所や隣家との距離、道路からの視線など、環境条件によっては思ったように使いこなせないケースも少なくありません。とくに、南向きで直射日光が強く当たる立地では、洗濯物がすぐ乾く一方で、くつろぐには暑すぎると感じることも。
さらに、落ち葉や砂ぼこりが溜まりやすい場所では、掃除や手入れが負担となり、次第に「使われない空間」になってしまうこともあります。設計前に、理想と現実のバランスが取れるかを、冷静に見極めておくことも大切です。
使われなくなるバルコニーの特徴とは?

「おしゃれなはずのバルコニーが、なぜか誰も使わなくなった」
そんなケースには共通点があります。後悔を防ぐためにも、「避けたい設計」のパターンをあらかじめ確認しておきましょう。
動線が悪い or 遠すぎる
バルコニーは、アクセスのしやすさが日常使いできるかのポイントです。
室内からの出入りが面倒だったり、動線が長かったりすると、自然と足が遠のいてしまいます。とくに物干し場として使いたい場合、ランドリールームからの距離があると毎日の負担が重くなります。
動線が悪いことで使い勝手が悪化し、次第に使わなくなり、ただ物を仮置きするだけの場所になるケースは少なくありません。
バルコニーの位置を決めるときは、「使いたい場面」と「そこにいくまでの動線」を具体的にイメージすることが大切です。
目線や音が気になってリラックスできない
外からの視線や音が気になると、せっかくのバルコニーでも落ち着いて過ごせません。とくに隣家との距離が近い場合や、隣接するマンションや3階建てから見下ろされる位置にあると、プライバシーが確保しづらくなります。
また、交通量の多い道路沿いでは、車の走行音が気になってくつろぎの時間が台無しになることも。設計段階で視線の抜け方や音環境を確認し、必要に応じて袖壁の設置や、庇を長くするといった対策を検討しましょう。
バルコニーを「毎日使える空間」に変えるアイデア

バルコニーは、広さより「使いやすさ」がポイントです。共働きや掃除が苦手な人でも、自然と足が向くような工夫をすれば、日常的に楽しめる場所になります。ここでは、そんな空間づくりのヒントを紹介します。
屋外用の床材で「素足でも快適」に
バルコニーの床材は、素足で過ごせる快適さを意識して選ぶと多用途に使いやすくなります。ウッドデッキ調や磁器タイルなど、耐候性があり、好みの質感や肌触りに合った素材を選びましょう。
水はけの良さや掃除のしやすさも重要です。また、隣接する室内空間の床材とテイストを合わせると、視覚的な「外と内のつながり」が生まれ、広がりを感じる空間になります。
屋根や壁で「半屋外空間」にする
バルコニーをもっと活用するには、屋根や壁で「半屋外」のような空間に整えるのが効果的です。たとえば、庇やタープを設けて日差しや雨を遮るだけで、過ごせる時間帯がぐっと広がります。
周囲の視線や強い風、紫外線をやわらげつつ、圧迫感のない設計にすれば、開放感もキープできます。屋根や囲いの工夫によって用途を広げ、日常的に使いやすい快適な空間を目指しましょう。
コンセント・照明で「暮らしの場所」に格上げ
バルコニーをもっと活用したいなら、照明とコンセントを整えるのがポイントです。
照明を備えて夜でも使えるようになれば、読書やカフェタイムなど、ちょっとしたくつろぎの時間にも活用できます。照明のデザインや光の演出次第で、昼とは違う特別な雰囲気が生まれ、夜のひとときがより豊かなものになるでしょう。
さらにコンセントがあれば、ノートPCを使ってテレワークもできるようになり、活用の幅も広がります。
視線を遮る工夫で「ストレスが少ないバルコニーに」
周囲の視線が気にならない設計にすることで、バルコニーはより安心して過ごせる空間になります。
たとえば、隣家の窓の位置や道路との高低差をふまえた配置にすれば、日常的にくつろぎやすくなります。柵ではなく、乳白色のガラスなど明るさを確保しつつ視線を遮る素材を使うのも効果的です。
より高いプライバシーを求める場合は、ハイウォールを設けてしっかりと目隠しするとよいでしょう。
隣室との高低差を活かす設計
バルコニーと室内の床の高さをどう設計するかでも、空間の印象は大きく変わります。
たとえばリビングと高さを揃えれば、バルコニーが「部屋の延長」として感じられ、開放感も高まります。一方で、あえてバルコニーの床を少し下げると、外との間に心理的な区切りが生まれ、「外に出る」感覚が強調されます。
過ごし方や好みに応じて、適切な段差を考えるのがポイントです。
用途を広げる「水栓」の整備
バルコニーに水栓があるだけで、使い勝手が大きく変わります。
ホースで床を流したり、手すりや窓をさっと洗えたりと、日々の掃除がぐっとラクになります。さらに、ガーデニングの水やりはもちろん、夏にはビニールプールの給水や、アウトドア用品の手入れにも便利です。
わざわざバケツで水を運ぶ手間がないだけで、日常的に使いたくなる場所へと変わっていきます。水栓は、バルコニーを「使いこなせる空間」にするための工夫です。
おしゃれなバルコニー活用例
限られた空間でも自分らしく楽しめるバルコニー実例をご紹介します。
大きな屋根付きバルコニーなら食事も楽しめる
大きな屋根のある広めのバルコニーなら、日差しや小雨を気にせずテーブルやチェアを出して食事やティータイムが楽しめます。
リビングとつながる掃き出し窓をフルオープンタイプにすれば、室内と屋外の一体感が生まれ、まるで「もうひとつのダイニング」に。家族や友人と集まる時間が、ぐっと豊かになるでしょう。
天気がいい日はラグを敷き 素足で出られるアウトドアリビングに
晴れた日には、バルコニーにラグを敷くだけで、気軽に楽しめるリビングに早変わり。お気に入りのラグの上で、飲み物を片手にゆったりとティータイムを楽しめます。
防水性のあるアウトドアラグを選べば、突然の雨でも安心。素足で出られる心地よさも魅力です。
ハイウォールにすればプライバシーもしっかり確保
柵やガラス手すりではなく高さのあるハイウォールにすることで、周囲の視線を気にせず過ごせるバルコニーに。開放感はそのままに、安心感のある空間をつくることができます。
植物を育てたり、チェアを置いて日向ぼっこをしたりと、外でも自分のペースでくつろげるのが魅力です。人目を気にせず、プライベートな時間を楽しみましょう。
バルコニー設計で知っておきたい制度やルール

バルコニーを検討するときに、知っておきたい制度やルールを2つ紹介します。
インナーバルコニーは「固定資産税」がかかることも
屋根や壁に囲まれた「インナーバルコニー」は、構造によっては室内と同じと見なされ、固定資産税の課税対象になることがあります。判断基準は自治体によって異なるため、設計とあわせて確認してもらっておくと安心です。
ただし、「税金がかかる=損」と考えがちですが、建物の資産価値が上がるという見方もできます。バルコニーをつくりたい目的を再度確認し、納得のいく選択をすることが大切です。
広さによっては「建築面積」に含まれるケースも
バルコニーの奥行きが1mを超えていたり、三方以上が壁や柱で囲まれていたりすると、「建築面積」に算入される可能性があります。
建築面積とは、建物を真上から見たときの水平投影面積を指し、建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)や容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)に直接関係する重要な数値です。
この面積に含まれると、ほかの部屋の広さを削る必要があります。とくに都市部など広い敷地を確保しにくい地域で家づくりを考えている場合は、限られた面積をどう配分するかという観点から、設置するかどうかや広さを検討する必要があるでしょう。
まとめ
バルコニーは、設計次第で暮らしを豊かにする特別な空間になります。使いやすさや快適さにこだわって、自分たちの暮らしに本当に合ったカタチを見つけることが、後悔しないポイントです。
セキスイハイムでは、ライフスタイルや敷地条件に合わせて、使い勝手のよいバルコニーを含む間取りの提案をしています。まずは気軽にご相談ください。
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間取りづくりの基本となるポイントを
コラムでわかりやすく解説します。















































