間取りコラム集

キッチンレイアウト
6種類の特徴を解説!
実例で学ぶおしゃれな空間づくり

カウンターテーブルを併設したペニンシュラ型キッチン

毎日の料理や家事を快適にするには、コンロ・シンク・調理台をどう配置するか、つまり「キッチンレイアウト」の工夫が欠かせません。
I型・L型・アイランド型など、大きく6種類あるレイアウトにはそれぞれ特徴があり、暮らし方や間取りによって向き不向きがあります。

この記事では、セキスイハイムの実例をもとに、キッチンレイアウトごとの特徴や選び方、失敗を防ぐポイントなどを解説します。図面付きのおしゃれな実例も紹介しますので、理想の暮らしを叶えるキッチンづくりの参考にしてみてください。

キッチンのレイアウトを決める前に!LDKの間取りスタイル

キッチンのレイアウトを考えるときには、まずLDK全体のつながりを意識することが大切です。ここでは、独立型・オープン型・セミオープン型の代表的な3つのスタイルについて、それぞれの特徴を紹介します。

独立型(クローズド)

壁に囲まれた独立型キッチン

独立型は、壁で囲まれた個室のようなキッチンです。料理に集中しやすく、匂いや音がリビングに広がりにくいのが特徴で、来客時にもキッチンの詳細部分を見せずにすみます。

一方で、閉鎖的になるため家族との会話がしづらく、孤立感が出やすい点はデメリットです。圧迫感が気になる場合は、室内窓で視線の抜けをつくる、明るい内装を選ぶといった工夫が有効です。

オープン型

窓から光が差し込む開放的なオープン型キッチン

オープン型は、LDKと一体化した開放的なスタイルです。家族と会話をしながら調理できるので、明るくにぎやかな空間を演出できます。近年とても人気が高く、新築時に採用する家庭が多いことも特徴です。

ただし、常に手元が見えるため、片付けや収納の工夫が欠かせません。生活感が出るのが気になる場合は、カウンターでゆるやかにしきるなどの対策を検討しましょう。

セミオープン型

セミオープン型のキッチンから家族を見守る母親とダイニングで食事をとる子供と父親

セミオープン型は、独立型とオープン型の中間のような位置づけで、キッチンとリビング・ダイニングをゆるやかに区切るスタイルです。腰壁やカウンターを設けることで、開放感を保ちながらも手元を隠せることが特徴です。
調理中でも家族とのコミュニケーションをとりやすく、来客時も生活感が出にくいため、見た目と実用性のバランスを重視したい方におすすめです。

キッチンレイアウト6種類の特徴

キッチンには、主に6つのスタイルがあります。

  • I型
  • II型
  • L型
  • U型
  • アイランド型
  • ペニンシュラ型

それぞれどのような特徴があるのか、メリット・デメリットも含めて解説していきます。

I型:限られた空間を活用するシンプル設計

I型キッチンは、シンク・コンロ・作業台を横一列に並べた直線的なレイアウトです。

メリット

  • 省スペースで設置できる
  • シンプルな見た目でインテリアに馴染みやすい
  • コストを抑えやすい
  • 掃除がしやすい

デメリット

  • 作業スペースが不足しがち
  • 横幅が長すぎると移動距離が増える
  • 収納力が不足しやすい

コンパクトにまとまることから、狭小住宅など限られた間取りでも導入しやすいのが特徴です。

ただし、横幅が長すぎると移動距離が増えるため、作業効率が下がることも。一方で狭すぎれば作業台が足りず不便になるため、コンロ・シンク・調理台の幅をどう配分するかがポイントです。調理器具や家電をどれくらい置くか、どんな動作が多いかをイメージしながら幅を決めると失敗を防ぎやすくなります。

キッチンの幅をあまりとれず、収納不足が気になる場合は、吊り戸棚で補うとよいでしょう。

II型(セパレート型):並行配置で効率アップ

シンクとコンロを向かい合わせに配置したセパレート型キッチン

II型は、シンクとコンロを向かい合わせにしたレイアウトで、セパレート型とも呼ばれます。

メリット

  • 効率的な作業動線を実現できる
  • 収納量が多い
  • 2人以上でも動きやすい

デメリット

  • 通路幅次第で使いやすさが大きく変わる
  • 水はねで床が汚れやすい
  • 広い間取りでないと導入が難しい

シンク・コンロ・冷蔵庫の距離を近づけやすいため、振り返るだけで作業が完結し、調理中の移動が少なくてすむのが魅力です。パーツが2つに分かれていて作業台を広く確保できるので、二人での同時作業にも向いています。収納量も多いので吊戸棚を省きやすく、開放的な空間になるのもポイントです。

一方で、通路幅が狭すぎるとすれ違いが難しくなり、二人で立つ場合は熱い鍋や包丁の扱いに注意が必要になります。かといって広すぎると動線が伸びて作業効率が落ちてしまうため、あらかじめ使う人数や動きを想定した適切な幅を考えることが重要です。

L型:作業効率とゆとりを両立する万能型

広々とした作業スペースのあるL型キッチン

L型は、シンクとコンロを直角に配置するレイアウトです。調理動線を短く保ちながら、広い作業スペースを確保できるのが特徴です。

メリット

  • 作業効率が高く調理動線がコンパクト
  • 広い作業スペースを確保できる
  • 調理器具や家電の置き場を作りやすい
  • 対面式や壁付けなどアレンジしやすい

デメリット

  • コーナー部分がデッドスペースになりやすい
  • 設置に一定の広さが必要
  • 動き方によってはかえって効率が落ちる場合がある

壁付け・対面どちらにも対応しやすく、家電や収納の配置も自由度が高いため、間取りにあわせた柔軟な設計が叶います。

一方、コーナー部分がデッドスペースになりやすいため、「どう生かすか」で満足度が大きく変わります。回転式収納を取り入れたり、家電置き場にするなど、工夫が必要です。近年はコーナー部分を引き出せるモデルもあるので、検討してみるとよいでしょう。

U型(コの字型):料理好きのための充実空間

黒を基調とした高級感のあるコの字型キッチン

U型キッチンは、3方向にカウンターを配置した、コックピットのようなレイアウトのキッチンです。

メリット

  • 作業効率が非常に高い
  • 豊富な収納量を確保できる
  • 複数人での作業がしやすい
  • 調理や配膳の役割分担がしやすい

デメリット

  • 広いスペースが必要
  • 通路幅を確保しないと動きにくい
  • コーナーが2か所あり収納計画が難しい

短い動線で効率的に作業できるU型キッチンは、収納量が多く複数人での同時作業に対応できるのも魅力です。調理・配膳・片付けを分担しやすく、料理を楽しむ家庭にぴったりのレイアウトです。

ただし、広いスペースが必要で、L型同様にコーナーがデッドスペースにならない工夫や通路幅の確保など、設計段階で熟考が必要になります。一人で使うにはオーバースペックになりやすいので、ライフスタイルにあわせて検討するのがおすすめです。

アイランド型:家族が主役になれるステージ

木目調を基調としたあたたかみのあるアイランド型キッチン

アイランド型は、キッチンカウンターを壁から離して独立させた開放的なレイアウトで、LDKの中心として存在感を示せます。

メリット

  • 複数人で作業しやすい
  • 家族や来客とのコミュニケーションが取りやすい
  • 回遊性が高い

デメリット

  • 常に片付けを意識する必要がある
  • 広いスペースがないと設置できない
  • 収納不足になりやすい

回遊性が高く、家族や来客と自然にコミュニケーションをとれるのが、アイランド型のポイントです。

ただし、「開放感」と「片付けの大変さ」は表裏一体であり、手元が常に見えるため、片付けや収納計画を重視しないと生活感が出やすくなります。背面収納やパントリーを組み合わせるなど「どう隠すか」まで意識して設計することが重要です。

ペニンシュラ型:対面式の定番スタイル

ホテルライクなペニンシュラ型キッチン

「半島」を意味するペニンシュラ型は、片側が壁に接して半島のように突き出たレイアウトのキッチンです。

メリット

  • 省スペースで対面式を実現できる
  • 子どもの出入りを制限しやすい
  • 程よい開放感

デメリット

  • 通路が片側のみで回遊性がない
  • 手元が見えやすく片付けが大変
  • アイランドほどの自由度はない

「アイランドは広すぎるけど対面にしたい」という場合に、アイランドの雰囲気をコンパクトに取り入れられるレイアウトとして人気です。リビングとの一体感を持たせやすく、家族と向き合いながら調理できます。

アイランド型と比較すると回遊性がなく、動線は一方向に限られてしまうため、玄関や水回りとの動線をどうつなぐかがポイントになります。例えば、壁に接している側から洗面・玄関に抜けられるようにすると、回遊性が生まれ、暮らしやすさが向上します。

キッチンレイアウトを決めるポイント

ここでは、使い勝手を左右する、キッチンレイアウトの基本ルールを紹介します。

使いやすさを左右する「ワークトライアングル」

I型キッチンは、シンク・コンロ・作業台を横一列に並べた直線的なレイアウトです。

コンロ、シンク、冷蔵庫を三角形になるよう配置すると、ワークトライアングルができる

キッチンは、シンク・コンロ・冷蔵庫の3点を結ぶ三角形が調理効率を決めます。
理想の合計距離は以下のとおりとされています。

  • コンロ⇔シンク:1.2m〜1.8m
  • シンク⇔冷蔵庫:1.2m〜2.1m
  • 冷蔵庫⇔コンロ:1.2m〜2.7m

さらに3辺の合計を6.6m以下とし、トライアングルが正三角形に近いと、使い勝手がよくなります。

快適に使えるワークトップの高さ

ワークトップをひじの高さからマイナス10センチにしたキッチン

ワークトップの高さの目安は、「身長÷2+5cm」とよくいわれますが、腕の長さを考慮した高さにしたほうが、快適性が増します。最近では腕の長さも加味した「肘の高さ-10cm」という高さが、より無理のない姿勢で調理できるのでおすすめだといわれています。

システムキッチンは80cm・85cm・90cm・95cmの5cm刻みのものが多いので、近い高さのものを選びましょう。キッチンメーカーのショールームで、実際に試してみると後悔を減らせます。

想定人数にあわせた通路幅

90センチ以上の通路幅を確保したキッチン

通路幅は、料理をするのは1人の場合でも、配膳や片づけの手伝いなどで他の人が立ち入ることを考えると、90cm以上を確保するのが理想です。

ただし、広すぎてもワークトライアングルが大きくなり、動線が伸びて効率が落ちてしまいます。実際に使う人数、動きを想定したうえで、キッチンレイアウトとあわせて検討することが大切です。

【図面付き実例】おしゃれなキッチンレイアウト

ここからは、セキスイハイムの実例をもとに、キッチンレイアウトごとの特徴や選び方、失敗を防ぐポイントなどを解説します。

回遊動線が快適なアイランドキッチンがある二世帯住宅の事例

下がり天井で緩やかにキッチンスペースを区切った、アイランドキッチンの事例です。黒のワークトップにあわせ、換気扇や家電も黒で統一されておりおしゃれです。

黒を基調としたアイランドキッチン
快適な回遊動線を設けた住まいの間取り

玄関→階段スペース→洗面所→パントリー→LDK→玄関と回遊できるため、家事動線も抜群です。

この事例をもっと詳しく

こだわってつくった完全分離二世帯住宅

オールステンレスがクールな印象のペニンシュラ型キッチン

無機質でクールな印象のオールステンレスキッチンを採用した、ペニンシュラ型キッチンです。

オールステンレスを採用したペニンシュラ型キッチン

リビング側にコンロがあるオープンキッチンは、匂いや煙が部屋に流れてしまいがちですが、アクリル板を立てることで圧迫感なく課題に対応しています。

キッチンとパントリーを一直線につなげた住まいの間取り

キッチンが接する壁側にはスリット型の窓が設けられており、日中は自然な光に包まれる明るいキッチンを演出します。キッチン右手奥にはパントリーがあり、そのまま外に出入りできる間取りとなっているので、重い荷物を運び入れたり、ゴミ出しするのに便利です。

見せる・隠すが絶妙なアイランドキッチン

常に片付いた状態でないと生活感が出てしまうアイランドキッチンを、壁を立ち上げることで手元が隠れるよう工夫した事例です。背面はタイル張りとカウンターで、飾り棚を設けて見せる収納を設置しました。

背面に飾り棚を設けたアイランドキッチン

対面にしたいけれどもいつもきれいに片付けている自信がない場合は、このように壁をつくるのもおすすめです。

キッチンと洗面脱衣室と隣接した住まいの間取り

キッチンは洗面脱衣室と隣接させたことで、洗濯機を回しながら食事の下ごしらえができるなど、家事動線も抜群です。

狭いキッチンでも快適に!レイアウトのポイント

間取り図のイメージ写真

ここからは、セキスイハイムの実例をもとに、キッチンレイアウトごとの特徴や選び方、失敗を防ぐポイントなどを解説します。

冷蔵庫は入口近くに置く

狭いキッチンで冷蔵庫を奥に置くと、飲みものを取りにきた家族が通路に立ち入り、調理中の人と動線が重なりやすくなります。その結果、ちょっとした渋滞がうまれ、効率よく動けなくなることも少なくありません。

入口付近に設置すれば、調理中でも邪魔になることなく冷蔵庫を使えるため、ストレスが軽減されます。

抜け感を意識する

狭いキッチンでは、「抜け感」を意識した設計も大切です。クローズドやセミクローズドにすると圧迫感が強くなりやすいため、オープンなスタイルにすると視線が広がり、実際よりも空間を広く感じられます。

また、勝手口や窓を設けて外へ視線が伸びるようにすると、開放感を得られます。

収納力の高いキッチンを選ぶ

物が出しっぱなしになっていると、圧迫感が強くなります。そのため限られた空間を広く感じさせるには、収納の充実が欠かせません。

システムキッチンはできるだけ収納量が多く、引き出し式で奥の物まで取り出しやすいタイプを選びましょう。吊戸棚を設けて上部空間を活用すると収納力が高まりますが、圧迫感が強まります。新居に入るのにあわせ、キッチン家電や食器などを厳選することも大切です。

キッチンレイアウトでよくある失敗と対策

邪魔にならない場所に置かれた分別用のゴミ箱

どんなに見た目やデザインを工夫しても、実際に使い始めてから不便を感じるケースは少なくありません。ここでは、キッチン計画でよくある失敗例と、その対策を紹介します。

ゴミ箱が邪魔になる

キッチンで意外と多いのが、ゴミ箱の置き場に困るケースです。通路にはみ出して置くと、作業やすれ違いの邪魔になり、ストレスを感じてしまいます。また、視界に入る場所に置くと生活感が強く出て、せっかくのおしゃれな空間が台無しになることもあります。

対策

計画の段階で「必要なゴミ箱の数」を考えておくことが重要です。引っ越しをともなう場合は、転居先のゴミ出しルールを事前に確認し、いくつ必要かを考えておきましょう。
背面収納やカウンター下にビルトインできるスペースを確保すると、作業動線を妨げず、見た目もすっきりするのでおすすめです。分別ルールが細かい自治体では、日常の動きにあわせたゴミ動線を意識し、パントリーや勝手口の近くにまとめて配置するのも効果的です。

コンセントが足りず延長コードだらけに

調理家電を増やしたときに、差し込み口が足りなくなるのも典型的な失敗です。炊飯器や電子レンジ、トースターなど日常使う家電に加え、ハンドミキサーやフードプロセッサーなど一時的に使う機器もあり、差し込み口が足りなくなりがちです。

その結果、延長コードを多用して見た目が乱れるだけでなく、コードが作業台に這うことで安全性や作業効率も損なわれます。

対策

キッチン計画時に「常時使う家電」と「一時的に使う家電」を分け、必要な口数を考えましょう。作業台の近くにコンセントを配置すれば、小型家電も使いやすくなります。冷蔵庫や食洗機などの大型家電には、専用回路を設けるのが安心です。

将来の買い替えや家電の追加も想定して余裕を持たせると、長く快適に使えるキッチンになります。

まとめ

ダイニングテーブルと一直線につなげた木目調のキッチン

注文住宅は、あなたの家族だけの理想を形にできる唯一の機会です。とくにキッチンは、家族の健康を支える毎日の暮らしの中心となる場所だからこそ、ライフスタイルにあったレイアウト選びが大切です。

本記事で紹介した6つのレイアウトにはそれぞれ特徴があり、理想とする暮らし方によって最適な選択は異なります。ワークトライアングルや通路幅など設計のポイントも押さえながら、10年後、20年後も「この選択でよかった」と思えるキッチンを実現しましょう。

セキスイハイムでは、豊富な実績をもとに、お客様一人ひとりのライフスタイルに寄り添った最適なキッチンレイアウトをご提案します。まずはお気軽にお問い合わせください。

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