「階段のない暮らしがしたい」「地震に強い家に住みたい」といった理由から、平屋への関心を寄せる人が増えています。
その一方、「広い土地が必要なのでは?」「建築コストが高そう」といった不安の声も少なくありません。
そこで本記事では、平屋のメリットとデメリットを整理し、後悔しないための対策までわかりやすく解説します。暮らしやすい平屋の実例も間取り付きで紹介していますので、これから平屋を検討する際に、ぜひ参考にしてください。
近年、住宅市場において、平屋への注目度は確実に高まっています。
国土交通省の「建築着工統計調査」によると、2014年には新築住宅全体の約7.5%にとどまっていた平屋の割合は、2024年には約16.8%へと倍以上に拡大しました。
その理由としては、階段のないバリアフリー性やコンパクトな生活動線、屋根面積を広く使えるため太陽光発電を載せやすい省エネ性など、時代のニーズにマッチしていることなどが考えられます。
かつては「老後の住まい」としてのイメージが強かった平屋も、近年では「いま快適に暮らすための選択肢」として、若者世帯や一人暮らしにも選ばれるようになっているのです。
平屋には、日々の暮らしを快適にする多くの利点があります。ここでは、代表的な7つのメリットを具体的に見ていきましょう。
平屋はすべての生活空間がワンフロアにまとまっているため、家事の動線が短くなり効率的です。たとえば洗濯ひとつとっても、「洗う→干す→たたむ→しまう」といった流れがスムーズで、日々の負担が抑えられます。
また、上下移動がないことで、調理や洗濯などの作業を「横移動」で並行しやすく、家事全体の効率化が可能です。回遊動線にすると、より快適な動きが実現します。
さらに収納やクローゼットを生活動線上にまとめれば、片付けや支度も短時間で完了。平屋ならではのシンプルな動線設計は、忙しい日々の暮らしの大きな助けになるでしょう。
平屋は生活がワンフロアで完結するので、階段の上り下りが不要です。移動の負担が少なく、高齢の方や小さな子どもがいる家庭でも安心して暮らせます。
日々の昇り降りによる身体的な負担がないことから、掃除や移動のストレスも減り、快適な生活を維持しやすいのも魅力です。
また、段差のないフラットな設計にしやすいため、将来的に介護が必要になった場合でも空間の改修をスムーズにおこなえます。「いま」だけでなく「将来の安心」まで見据えられる点は、平屋の大きなメリットです。
平屋はワンフロアにすべての部屋がおさまるので、家族をより近くに感じられるのもメリットです。リビングを中心とした間取りにしやすく、家族が自然と集まりやすい空間を確保できます。
各部屋が近接していることで互いの気配を感じられ、小さな子どもや介護が必要な高齢者がいる場合でも安心感が生まれます。調理しながら、くつろぎながらでも声をかけあいやすく、日常的にコミュニケーションが生まれるのも平屋ならではの暮らしです。
家族の存在を身近に感じながら暮らしたい方には、平屋暮らしがおすすめです。
平屋は建物全体の重心が低いため、2階建てや3階建てと比べると、建物全体のバランスをとりやすくなります。そのため地震の揺れによる影響を受けにくいのが特徴です。
近年、平屋が再評価されている背景には、防災意識の高まりとともにこうした耐震性能の優位性も大きく関係していると推察されます。災害リスク回避を重視する人にとって、平屋はより安心して暮らせる住まいとしての、よい選択肢となるでしょう。
平屋はすべての部屋が1階に配置されるため、どの空間からでも庭やテラスへアクセスしやすいのが特長です。家の中にいながら外の空気や景色を感じられ、窓を開ければ簡単に屋外とつながり、自然と一体感のある暮らしを楽しめます。
とくに、LDKと隣接させてウッドデッキや中庭を設ける設計にすれば、アウトドアリビングのような開放的な空間が広がります。季節の移ろいを楽しんだり、子どもの遊び場や家族の団らんスペースとして活用するなど、屋内外をシームレスにつないで自由に行き来できるのも、平屋ならではの大きな魅力の一つです。
平屋は2階部分の制約がないため、天井を高くしたり梁を見せたりと、開放的で個性のある空間づくりがしやすいのもメリットです。とくに、片流れ屋根や切妻屋根などで勾配天井を取り入れると縦の広がりが生まれ、実際の床面積以上に広く感じられる住まいを実現できます。
さらに高窓を組み合わせれば、自然光や風を効率よく取り込みながら、室内に明るさと心地よい抜け感をもたらせます。
平屋は屋根面積が広く確保できることから、太陽光発電に必要なパネルを多く搭載しやすいのもポイントです。発電量をしっかり確保できれば、光熱費の削減につながるだけでなく、売電による収入を得られる可能性もあります。
また災害時には、自家発電として活用できる場合があるのも安心です。創エネを取り入れ、より環境にやさしく持続可能な住まいを求める方にとって、平屋はよい選択肢になるでしょう。
平屋には魅力が多い一方で、土地やコスト、間取りの面で注意点もあります。ただし、設計や計画の工夫次第で多くは解消可能です。ここでは7つのデメリットと解決策を紹介します。
平屋は建物がワンフロアに広がることから、同じ延べ床面積であれば2階建てよりも広い敷地面積が必要になります。そのため土地価格が高い都市部では予算オーバーになりがちですが、土地選びの視点を変えることで選択肢は広がります。
たとえば、職場から近いけれども駅から遠い土地よりも、特急で2〜3区間離れていても駅近の土地のほうが、結果的に利便性が高いケースは少なくありません。郊外や駅から少し離れたエリアを視野に入れることで、広さと利便性を両立できる土地が見つかりやすくなります。
希望エリアにこだわらず、土地選びの視点を柔軟に持つことで、平屋も現実的な選択肢となるでしょう。
近年は豪雨災害が各地で相次いでおり、家づくりに際しても水害リスクを意識する傾向があります。その際、「2階がなく垂直避難が難しい」として、平屋に不安を感じる方も少なくありません。
しかし、家づくりにおいてまず大切なのは「どこに建てるか」という土地選びです。大雨や浸水など、水害リスクがあるエリアでは被害を避けにくいため、自治体が公表しているハザードマップを確認し、安全性の高い場所を選ぶことが重要です。
そのうえで、必要に応じて盛り土をする、基礎を高めにするなど設計面で備えれば、安心感はさらに高まります。
平屋は基礎や屋根の面積が広くなるので、同じ延床面積の2階建てに比べて建築費が高くなる傾向があります。とくに坪数が大きくなると、工事費や材料費の負担が膨らみやすい点には注意が必要です。
とはいえ、コンパクトな設計や部屋数の見直しによってコストを抑えることは可能です。動線を工夫し、間取りを無駄なく整えれば、省スペースでも快適な暮らしを実現できます。
建築費と暮らしやすさを両立させるには、家族に本当に必要な広さや空間を見極めること、それに対応できるハウスメーカー選びが重要です。
延床面積が広い平屋は、形状が正方形に近くなると、中央部への光や風の取り入れが難しくなることがあります。窓を多く設けても、外壁に面していない部屋では部屋が暗く感じることも。
この課題を解決するには、コの字やロの字にして中庭や吹き抜けを取り入れ外部とつながる空間を広げる、高窓や天窓から自然光を上から取り込むといった工夫が有効です。
設計段階から採光や通風を意識すれば、広い平屋でも明るく快適な室内環境が叶います。
平屋は2階がない分、収納をすべて1階でまかなう必要があるため、収納不足を感じやすいことがあります。工夫しないと物があふれて雑然としてしまい、生活空間が狭くなることも。
その解決策として有効なのが、勾配天井にしてロフトや屋根裏収納を設けるなど、空間を立体的に活用する方法です。さらに、カベ厚を使った切り欠き収納や床下収納など、デッドスペースを有効利用することで、収納力を補いながら暮らしやすさを保てるようになります。
またスッキリとした暮らしをスタートするには、家を新築するのにあわせ、持ち物全体を見直して整理しておくことも大切です。
平屋はすべての部屋が1階にあることから、屋外との距離が近く、通行人や隣家からの視線が気になるケースがあります。また、侵入経路が多くなることで、防犯面に不安を感じる方も少なくありません。
こうした不安を解消するには、道路に面する側は高窓にするなど窓の配置を工夫し、外からの視線を遮るのが効果的です。大きな窓を配置する場合は、外観デザインにマッチするフェンスや植栽を組み合わせれば、自然な形でプライバシーを守りやすくなります。
あわせて玄関アプローチの配置を工夫したり、センサーライトを設置したりするなど防犯意識を高めた設計を取り入れて、安心して暮らせる平屋を実現しましょう。
平屋は家族の距離が近い反面、生活空間が近接しているので、テレビや会話、家事の音などが互いに気になることがあります。とくにLDKと個室が隣接している場合、生活リズムの違いによるストレスにつながるケースも少なくありません。
この課題にあらかじめ対策するには、部屋と部屋の間に収納や廊下を挟み、音をやわらげる「クッション空間」を設けるのが有効です。あわせて吸音性の高い建材を採用すると、落ち着いた空間づくりが叶うでしょう。
ここでは、実際に建てられたセキスイハイムの平屋から、暮らしやすさに配慮した工夫が詰まった事例をご紹介します。収納や採光、間取りのアイデアなど、ぜひ参考にしてください。
延床面積約34.27坪(113.32㎡)の平屋です。
LDKとファミリークローゼット、洗面室、玄関を回遊動線にしたことで、快適性を高めた平屋です。帰宅後は洗面室で手を洗い、ファミリークローゼットで着替えてからLDKへ向かうことができます。料理と洗濯を平行しておこなうのも、横移動だけなので効率的です。
手がふさがっているときでもスムーズに出入りできるよう、水回りには引き戸を採用しました。動線をコンパクトに抑えやすい、平屋のメリットを存分に活かした事例です。
延床面積約27.58坪(91.18㎡)の平屋です。
玄関には広々とした土間収納を設け、靴だけでなく防寒着や園芸用品、釣り道具などを収納しています。リビングの床の一部をデッキと同じ素材で仕上げることで、視線が外まで抜けて開放感を感じられるよう工夫しました。
さらに勾配屋根を採用し天井を高くし、のびやかな空間を実現。あわせて天窓を配したことで、自然光がたっぷり差し込む明るいリビングになっています。
延床面積約31.75坪(104.99㎡)の平屋です。
家族の使用頻度が高いファミリークローゼットとトイレ・洗面室を家の中央に配置したことで、どの個室からも行き来しやすく、使い勝手のよい動線を実現しています。
収納容器の大きさをもとに間仕切り壁の位置を計算して設計したパントリーは、無駄なスペースをなるべく減らしました。収納不足が課題になりやすい平屋は、あらかじめ持ち物を整理して、設計に反映させることが成功のポイントです。
平屋と二階建てで迷うときは、家族構成や将来のライフスタイルを基準に考えるのがポイントです。
階段のない安心感や、ワンフロアで完結する動線を重視するなら、平屋は有力な選択肢といえるでしょう。その一方、敷地条件によっては2階建てが現実的になることもあります。
ただし、「予算的に2階建てしか無理」と思っていても、土地選びを工夫すれば平屋を実現できることも少なくありません。予算を理由に平屋をあきらめてしまう前に、まずはハウスメーカーに相談することをおすすめします。
平屋は、家事効率のよさや安心感、家族とのつながりを育む間取りなど、暮らしやすさの面で多くのメリットがあります。
敷地の広さや建築費、採光や収納の工夫など、検討すべき課題もありますが、土地選びや設計に工夫を取り入れれば、これらのデメリットは十分に解消可能です。将来のライフスタイルも見据えて検討することで、平屋は長く快適に暮らせる住まいとなるでしょう。
平屋を前向きに検討されたい方は、実例やノウハウが豊富なセキスイハイムにぜひご相談ください。
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