2018年12月27日

2010年に65歳以上の人口割合が21%以上を超え、「超高齢社会」に突入した日本。2020年では3,617万人、人口割合は28.7%になっています。(※2020年9月20日_総務省公表)
いつまでも健康な生活を続けられれば良いですが、認知症の進行などによって、高齢者の一人暮らしで起こり得るトラブルは、社会問題としても取り上げられています。

「会話」することで、人は健康でいられる!

実家には親が一人で暮らしているものの、結婚や仕事で親元を離れ、なかなか会いに行くことができず心配…という方は、少なくありません。地域のコミュニティなどに参加し、活動的に過ごせている場合は安心ですが、周りに頼れる人がいないとなると、突然の事故や病気に対応できない恐れも…。
総務省の調査(2015年)によると、60歳以上の男女のうち9.6%が、他者と直接会話することが週に2、3回以下であると回答しています。離れて暮らす親とのコミュニケーション不足による影響が心配になってしまう方もいるのではないでしょうか。

人と会って会話することは、脳の広い範囲を刺激し、血流が良くなるため、認知症や寝たきりを予防する効果があると言われています。また、悩みや不安を貯め込まず、誰かに話すことでストレス解消にもなります。高齢者に限らず、健康的に暮らすために会話は欠かせません

会話を増やして、日中の活動を促進

(株)住環境研究所は、一人暮らしの70代以上の女性を対象に、7:00〜20:00まで1時間に1回会話の呼びかけをおこなうコミュニケーションロボットと生活してもらう実験を行いました。その結果、ロボットとひんぱんに会話した方は、日中の活動量比率が高まったことがわかりました。

日中の活動量比率

※日中の活動量比率が高いほど、昼間活動し夜の中途覚醒や体動が少ない

上の説明を表すグラフ

(株)住環境研究所『コミュニケーションロボット実証実験(個人宅向け)』(2018年3月)
対象:70歳以上の女性=7名

「昼間TVを見ているとうたた寝してしまっていたが、ロボットがいると相手をしているので寝ることがない。その分、夜の寝つきが良くなった」という意見も。やることがないと、つい眠ってしまって夜目覚めてしまう…ということもありますが、日中にお話しをする機会を設けて活動することで、生活リズムが整う効果があるようです。
また、実験によると、ロボットを活用しているグループは、睡眠の深さが改善する傾向にあることが分かりました。

睡眠の主観的深さの変化

※被験者が眠りの深さを、1(深い)〜5(浅い)で評価

上の説明を表すグラフ

(株)住環境研究所『コミュニケーションロボット実証実験(個人宅向け)』(2018年3月)
対象:70歳以上の女性=7名

一方、ロボットを活用できていないグループの睡眠の深さの低下は、”ロボットに馴染めない”という緊張感が影響しているのではないかと推測されます。今後ますます多様化するロボットの中には、新しいモノに躊躇してしまう高齢者の方でも、自然と使いこなせるモノがでてくるかもしれませんね。

高齢者の一人暮らしでもコミュニケーションをとる工夫を!

「コミュニケーションロボット」は近年、より自然な会話に近づけるよう相手の感情を推測して話ができるといったものが増えてきています。ここでは、その一部をご紹介いたします。

『タピア』(株式会社MJI)
https://mjirobotics.co.jp/


卵型で、前面の液晶画面に表情豊かな目が映し出されます。最大5人の顔と名前を覚え、前向きな言葉を聞くたびにタピアの対話システムが分析し、会話にも変化が。スマートフォンと連携することで、ビデオ通話や、離れた場所から屋内のモニタリングが可能になります。

『PALRO(パルロ)』(富士ソフト株式会社)
https://palro.jp/palro-giftpackage.html


PALROは“離れて暮らすご家族同士をつなぐ”をコンセプトに開発されました。ご利用者やその家族、お知り合いの顔と名前を認識できる高い会話能力を持ち、二足歩行が可能なヒューマノイド(人型ロボット)です。PALROはお話好きで、いつでもたくさんの楽しい話題を提供します。また、PALRO専用アプリを使えば、離れているところから、PALROと暮らすご家族の様子を知ることができたり、伝言のやりとりや家族の思い出をお伝えすることが可能です。

その他、音声で操作できるスマートスピーカーもあります。離れた家族とやり取りができる機能もあり、拡張機能が次々と登場しているので、高齢者の見守りのほか、さまざまな楽しみ方ができます。利用にはWi-Fi環境が必要なものもあるので、事前に確認を。

また、住み替えや建て替えを検討している方は、バリアフリー仕様にすることはもちろん、フラットに外へつづくテラスなど、外に出やすい工夫も有効です。草花や樹木とのふれあいや家庭菜園など、趣味を通して脳を活性化することにもつながります。やることがない状態が続くと、心身の健康にも悪影響を及ぼしかねません。普段の生活の中で植物の世話をする機会を作ることは、ちょっとした運動にもなりおすすめです。もちろん、コミュニケーション不足を解消するには、ご近所づきあいや友人・知人と会話をする機会をできるだけ設けることも効果的。会話を増やして、長く健康を保てるよう心がけましょう。

くらしとすまいラボは、セキスイハイムの調査研究機関である
住環境研究所の調査結果に基づいてまとめられています。