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プレスリリース

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「同居・二世帯の住まいづくりと暮らし満足度」調査について

2012年5月31日
株式会社住環境研究所

積水化学工業株式会社住宅カンパニー(プレジデント:高下貞二)の調査研究機関である株式会社住環境研究所(所長:倉片恒治、千代田区神田須田町1-1)は、このほど「同居・二世帯の住まいづくりと暮らし満足度」調査を実施しました。東日本大震災で暮らしの価値観が大きく変わり、家族との絆の大切さが再認識され、共に暮らすことが改めて見直されています。

高齢期の親世代サポート、子(孫)育て支援、住宅取得費の負担軽減など、新しく住宅取得を考える場合にも「同居・二世帯」を検討するきっかけは少なくありません。

注目されている「同居・二世帯」ですが、その暮らしには難しさがあるのも事実。暮らし満足度が高い「同居・二世帯」家族を通して住まいづくりのポイントを探ったものが今回の調査です。

■調査結果のポイント

1.注文住宅を建築した同居・二世帯家族の86%が暮らしに「概ね満足」

注文住宅を建築した同居・二世帯家族の86%がその暮らしに「概ね満足」しています。満足が多い理由として、注文住宅のため、住まいの計画段階で同居・二世帯暮らしの不安や悩みごとを把握し、軽減するための対応ができたことが考えられます。

2.「満足度」高めるポイントは『同居家族との交流』『世帯の独立性』の両方を考えておくこと

住まいの計画時に「同居家族との交流」と「自分達世帯の独立性」の両方について考えておくことがポイントです。計画時に「交流を非常に重視した」は「満足層」26%に対し「不満層」は6%、「世帯の独立性を非常に重視した」も「満足層」28%に対し、「不満層」は14%。住まいの計画時に「交流」と「独立性」の両方について考えておくことが、建築後の暮らしについて高い満足度を得ることにつながります。

3.『交流』のカギは「家族全員が揃う食事」「一緒に過ごせるリビング」「家事子育ての協力」

同居家族の『交流』のために実施、工夫したことの1位は「家族全員が揃って食事ができる場所」62%、2位「一緒に過ごせるリビング」38%、3位「一緒に料理ができる広いキッチン」34%。交流のカギは、これらを実現できる「場づくり」といえます。

4.『世帯の独立性』のカギは「空間や設備の世帯専用化」「光熱費の分担」

1)世帯専用化意向の実現が満足度を左右
同居の暮らし満足度が高いほど、空間や設備の世帯専用化意向(同居家族と自分達で世帯ごとに専用で持った方が良いと思う)を実現できている住まいが多くなっていました。世帯専用化意向は空間や設備、同居タイプ、同居開始の時期によって異なります。どの空間や設備を家族の専用とするのか、意向を的確に把握し住まいの計画に反映することが大切です。



2)満足度が高いほど光熱費を世帯で分担。分担できない場合は住まいの省エネがポイント
二世帯同居、ひとり親同居のいずれの同居タイプでも満足度が高いほど、光熱費を世帯で分担している割合が高くなっています。分担していない場合も「住まいの省エネ満足度」が高いと光熱費の負担満足度は高くなることから、同居する親が高齢などで分担ができない場合は、住まいの省エネ性能を高めておくと満足度の向上につながることが考えられます。

■調査概要

調査目的:同居・二世帯の暮らし満足度と家族や建物実態、住まいづくりプロセスとの関係把握
調査対象:2004~10年に注文住宅で建築した戸建住宅に住む同居・二世帯家族(表1)
調査エリア:沖縄県を除く全国
調査方法:インターネット調査
調査時期:2012年1月
有効回答:1025件

■調査結果の概要

1.注文住宅を建築した同居・二世帯家族の86%が暮らしに「概ね満足」

同居・二世帯暮らしは同居家族とのかかわり方など不安や悩み事が多く聞かれますが、注文住宅を建築した同居・二世帯家族の満足度は意外と高く86%(満足14%、まあ満足49%、まあ満足に近い23%)。8割以上が満足している理由として、注文住宅のため、住まいの計画段階で同居・二世帯暮らしの不安や悩みごとを把握し、軽減するための対応ができたことが考えられます。

2.「満足度」高めるポイントは『同居家族との交流』『世帯の独立性』の両方を考えておくこと

住まいの計画時に同居家族との距離のとり方について考えておくことが満足度を高めるポイントになります。概ね満足している中でも「満足層(満足)」は計画時に親世帯との交流を「非常に重視した」が26%あるのに対して、「不満層(不満、やや不満、やや不満に近い)」は6%、世帯の独立性についても同様で「満足層」は「非常に重視した」28%に対し、「不満層」は14%と半分。同居家族の交流、自分達世帯の独立性を住まい計画時に考えておくことが、建築後の暮らしについて高い「満足度」を得ることにつながります。

3.『交流』のカギは「家族全員が揃う食事」「一緒に過ごせるリビング」「家事子育ての協力」

『同居家族の交流』を図るために住まいづくりで様々な工夫を凝らしていますが、交流を非常に重視した、重視した層が実施したことの1位は「家族全員が揃って食事ができる場所を作った」62%、2位「一緒に過ごせるリビングを作った」38%、3位「一緒に料理ができるようキッチンを広くとった」34%。妻【両親】、【娘世帯】の二世帯同居と夫【母】同居は各項目の実施率が高く、より積極的に『交流』をはかる傾向があります。

4.『世帯の独立性』のカギは「空間や設備の世帯専用化」「光熱費の分担」

1)世帯専用化意向の実現が満足度を左右
個々の空間や設備について、同居家族と自分達で世帯ごとに専用で持った方が良いと思う回答者に対し、実現できていた回答者の割合を表したのが世帯専用化実現率です。暮らし満足度が高いほど世帯専用化実現率が高く、意向に合った専用化を実現できている住まいが多くなっていました。

一方、世帯ごとに専用で持った方がよいと思っているのに専用になっていない(1つの空間や設備を同居家族と共有している)キッチン、浴室・シャワールーム、玄関について、その理由をたずねると「計画時には1つを共有することで問題ないと考えていた」が約半数、次に「間取りやスペースの関係」「費用の関係」が続きます。計画時に建築後の同居の暮らしが十分にイメージできていなかったケースが半数もあるのが注目されます。

空間や設備についての世帯専用化意向は、A)空間や設備、B)同居タイプ、C)同居開始の時期 により異なり、次のような傾向を示しています。

暮らし「満足」のためには、専用化意向に合った住まいの計画を行う必要があります。そのためには、計画時に個々の空間や設備について家族一人一人の使い方の希望を具体的に把握した上で、家族全体の意向をまとめていくことが大切になります。

2)満足度が高いほど光熱費を世帯で分担。分担できない場合は住まいの省エネがポイント
光熱費の負担のしかたも空間や設備の世帯専用化と同様に同居タイプによって異なります。二世帯同居はひとり親同居と比べて、光熱費を分担している割合が高くなります。

二世帯同居とひとり親同居について『食費、光熱費の負担満足度別』に負担のしかたを見ると、満足層ではどちらの同居タイプも費用を分担している割合が高くなっていました。

空間や設備を世帯ごとに完全分離した二世帯住宅では、電気メーター等がそれぞれの世帯に設置されるので光熱費の分担はしやすくなります。完全分離の二世帯住宅以外の場合は、空間や設備ごとに電気の使用状況がわかる機能(HEMS:ホームエネルギーマネジメントシステム)などを取り入れることで分担の目安にすることができます。一方、分担はせずに自分達世帯だけで負担する場合においては「住まいの省エネ満足度」が高いほど『食費、光熱費の負担満足度』が高くなります。同居する親が高齢などで光熱費の分担をしない、できない場合には住まいの省エネ性能を高めておくと暮らし「満足度」の向上につながることが考えられます。

改めて見直した同居・二世帯の住まいを注文建築でつくる良さ

インターネットの検索サイトで“同居”“二世帯”といった単語を入力すると、相談とアドバイスのやり取りが盛んに行われている掲示板がいくつもヒットします。同居・二世帯の暮らしは、同居する家族との関わり方について不安や悩み事が数多いからです。私もそのように理解していたのですが、本調査では意外な結果が浮き彫りになりました。

調査前は世間一般に見聞きされるように不安や悩み事が多く、不満がもっと多くの割合を占めると考えていたのですが、過去7年間に注文住宅を建築し、同居・二世帯で暮らす家族の86%が現在の同居の暮らしについて、満足寄りの感想を持っていることが分かりました。

注文住宅で建築する一番のメリットは、住まいを計画する過程で、様々な手段や工夫を取り入れられることです。本調査の対象者はその大半が、住まいの計画時には同居が決まっていて、同居を前提とした住まいづくりをされた方たちです。注文住宅で住まいづくりを進めていく過程で不安や悩みを軽減するための手段や工夫を取り入れ、暮らし「満足」につなげていった経緯が調査全体を通して見えてきました。

同居・二世帯の住まいを建築するにあたって考えておきたいことは2つあります。『同居する家族との交流』と『自分達世帯の独立性』です。同居・二世帯の暮らし方や考え方は一緒に住む家族の関係性によって大きく傾向が異なります。その違いを明確化するために、8つの同居タイプ(夫【両親】同居、夫【母】同居、夫【父】同居、妻【両親】同居、妻【母】同居、妻【父】同居、【息子世帯】同居、【娘世帯】同居)を用いて、『交流』と『独立性』に関する暮らし「満足」ポイントを整理しました。これから同居・二世帯の住まいを考える方たちが自分達家族を同居タイプに置き換えることで、住まいや暮らしの意向に気づき、自分達にあった手段や工夫を導き出すための一助となることを期待しています。

アンケートとあわせて寄せられたコメントに目を通すと、住まいづくりを一緒に行ったことで家族の絆を深めたことがうかがえるものがいくつもありました。住まいのことを一緒に考え、話し合うことを通して家族が成長できるということも、同居・二世帯の住まいをつくる魅力の1つなのだと思います。

住環境研究所
所長 倉片恒治

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