
Profile
【 積水化学工業 元東京工場スタッフ 原 政良氏 】
企画管理部の総務として、積水化学工業の東京工場に定年まで勤めていた原さん。〈あさかリードタウン〉の歴史を知る語り部です。
住民とともに、街を元気に。
かつてここは地域貢献を目指す工場。
〈ハイムスイート朝霞〉が誕生する〈あさかリードタウン〉。かつてこの地には、大手樹脂加工メーカーである積水化学工業の東京工場がありました。操業期間は1953年から2015年。実に60年間以上にわたり稼働していたその工場に長く勤務していたのが原さんです。「私が積水化学工業に入社したのは1972年8月28日。当時のことを、昨日のように憶えています──」。
「その頃、工場ではポリバケツと塩化ビニルの継手、塩化ビニルの雨樋などをつくっていました。射出成型機を用いた大量生産で、当時としてはめずらしい産業用ロボットをいち早く導入。社会科の教科書にも載り、朝霞市から多くの人が工場見学に訪れていました」。
地元の発展にも大いに寄与したという同社の工場。地域振興のために主催していた「納涼祭」では、工場のグラウンドを開放して夏祭りを開催。花火を打ち上げ、社員手作りの食べ物をふるまう屋台販売も盛況だったそうです。「社会貢献が私どものひとつの目標でしたから。朝霞住民といっしょに、地元を盛り上げていこうという想いで一丸となって取り組んでいましたね」。
工場があった時代の航空写真を手に当時の様子を解説(あさかリードタウン内クラブハウス)
地域のために汗を流す工場
地域振興に取り組んでいた旧東京工場。地域の子どもたちと共に自然と親しむ『自然塾』では、山で竹を切って竹とんぼを作ったり、ムクロジという木の実を羽根つきの羽の玉にして遊んだりと自然と関わるさまざまな遊びを行っていました。8月の最後に開催していた「納涼祭」が終わると、「もう今年の夏も終わりだね」と呟かれるほど住民たちに愛される街の風物詩だったようです。
東京工場に勤務していたOBは、
誰もがこの街の完成を心待ちにしています。
「工場が閉鎖となり取り壊しが決まったとき、市の消防署から解体前の建物を使って行う救助訓練に協力してほしいという依頼がありました」と笑う原さん。クラッシャー(粉砕機)などを用いて、建物を大規模に壊す訓練をしていったと回想します。
「そりゃあ寂しかったですよ。だけどこの工場から──かつて住宅産業に注力したいという会社の指針もあって、多くの有能な社員が住宅カンパニー(セキスイハイム)の方に出向して行ったんですね。その人たちはもう80歳近いOBの方々なんですが、みんなが今この〈あさかリードタウン〉が完成するのを心待ちにしているんですよ」。
高度経済成長期、同じ釜の飯を食べた仲間は、自分たちのことを「東京工場出身者」と呼ぶと原さんは言います。「それほど、思い入れが強いのだと思います。OB会で会うたびに『どこまで開発が進んだ?』と話すくらいですから(笑)。だから私も毎回ここに来たら写真を撮って皆に見せてやるんですよ。ほら、こんなに立派な街ができていますよ、って」。
美しい街へと生まれ変わった街路を歩き感慨もひとしお
Profile
【 積水化学工業 元まちづくり総括 シニアフェロー 石井 寅男氏 】
〈あさかリードタウン〉のまちづくりプロジェクトを陣頭指揮した石井氏。積水化学グループ全社の力をひとつにまとめた立役者です。
お世話になった地元のために。
工場跡地から、価値のある街へ。
「東京工場を閉鎖したときには、その後の土地をどうするかはまだ決まっていませんでした。なにせ約73,400㎡もある大きな敷地です。更地にして売却するというプランもありましたが、それまで60年間お世話になった朝霞市に、なにかお返しすることはできないか。積水化学グループは住宅も手掛けているし、その総合力を活かした街ができるのではないかという議論が出てきて、まちづくりの構想が本格的にスタートしたんです」と、まちづくりプロジェクトを指揮した石井氏は当時を振り返ります。
「しかし、グループとしても初の取り組みですから、最初は本当にうまくいくのかという不安もありました。それまで独立した製品を製造してきたカンパニー同士の連携であるとか、自社の高機能な製品を使うと、価格が上がりすぎるのではないかといった懸念。しかし、それを乗り越えた末には、これまでにない『安心・安全で、環境のことも考えた快適な街』ができるのではないかと、皆がだんだんとそんな手応えを感じてきたんです」。
まちづくりのコンセプトは「Safe & Sound」(安心と快適・サステナブル)
グループの技術力を結集し、見えないところに安心を。
〈あさかリードタウン〉は、積水化学グループの総合力がいかんなく発揮された街です。水道管やガス管など重要なライフラインは耐震・耐久に優れた配管を採用。雨水浸透施設を備え、豪雨の際に力を発揮する口径の大きい強化プラスチック複合管を採用するなど災害に強い街を実現しています。
完成したとき、美しい街が
時を経て愛おしいと思えるか。
「家というのは長く住み続けてもらうもの。だからこそ会社としても売って終わりではなくとことん付き合いましょうと。先々まで、その街で快適に住んでもらえる仕組みを構築するために管理会社をつくりました。これも積水化学としては初の試みです」と話す石井氏。
〈あさかリードタウン〉では、積水化学工業みずから「タウンマネジメント」を手がける専門会社を設立。タウンコンシェルジュを配し、安心・安全な暮らしをサポートしたり、さまざまなイベントを企画し街のコミュニティ醸成に寄与しています。
「完成したとき、街はとても美しい。だけど数十年経過したとき、住民が愛着を持って住み続けた街とそうでない街とでは歴然とした差が生まれます。ヌーヴォーが熟成して年代物になるように、何十年先も、そこに住む人が街に親しみを抱き住み続けたいと願う街にしたい。『積水、いい街をつくったな』と、後々まで語り継がれるような街にすることが私たちの使命だと思っています」。
フラッグシップとなる街にしたいと語る石井氏
※掲載の画像はすべて2020年8月に撮影したものです。
※掲載の完成予想CG・街並み概念図は、計画段階の図面を基に描き起こしたもので実際とは異なります。また、施工上やむえない変更が生じた場合は建物竣工時の状態を優先します。
Copyright © 2019 TOKYO SEKISUIHEIM Co., Ltd. All rights reserved