テレワーク(在宅勤務)で実現できたことは?

2020年4月の緊急事態宣言を受けて、私たちは短期間のうちに急激な働き方の転換を迫られました。慣れないテレワークに大変な思いをする場面も多い中、一定数の方は「通勤の負担の軽減」をはじめ、「仕事と家事の両立」や「集中力UP」などポジティブな効果があったと感じていることが、(株)住環境研究所「在宅勤務の実態と意向」調査(2020年10月実施)で分かりました。

在宅勤務を始めて実現できたこと
(3つまで)

上の説明を表すグラフ

(株)住環境研究所「在宅勤務の実態と意向」調査(2020年10月実施)
在宅勤務開始前と比べて、始めたことにより実現された項目を最大3つまでお答えください
対象:全国20〜59歳の既婚男女の在宅勤務実施733名 ※上位項目を抽出

しかし、テレワークによって「家事と仕事の両立が実現した」と答えた方が19%、「仕事への集中力の向上が実現された」と答えた方が13%であるという数字の低さを鑑みると、やはり“働くためにデザインされていない”住まいにおけるテレワークには、もっと改善の余地があると言えるでしょう。

快適なテレワーク(在宅勤務)のための設備やスペース

では、快適なテレワークのために、どのような設備やスペースが求められているのでしょうか?

在宅勤務者が、今後欲しい
設備やスペース

下の説明を表す表

(株)住環境研究所「在宅勤務の実態と意向」調査(2020年10月実施)
「これから示す設備やスペースについて、今後欲しいかどうかお答えください」に「欲しい」と答えた方
対象:全国20〜59歳の既婚男女の在宅勤務実施733名 ※上位項目を抽出

在宅勤務をされている方は、「テレワークができる専用空間」を求めている人が多いことが分かりました。さらに3位までの上位項目を抽出すると、在宅勤務者の中で大きく2つの志向があることが浮き彫りに。一つは、【テレワークの専用空間】が欲しいという志向。もう一つは、「テレワークも可能、他にも使える、フレキシブルな空間」と「広いダイニング・リビングで複数のコーナーが持てる」を合わせた、【テレワークもできるマルチ空間】が欲しいという志向です。

それでは、働き盛りの20~30代で【テレワークの専用空間】と【テレワークもできるマルチ空間】のどちらが求められているかをみてみましょう。

20・30代の在宅勤務者が、今後欲しい
設備やスペース
(複数回答)

下の説明を表すグラフ

(株)住環境研究所「在宅勤務の実態と意向」調査(2020年10月実施)
「これから示す設備やスペースについて、今後欲しいかどうかお答えください」に「欲しい」と答えた方
対象:全国20〜59歳の既婚男女の在宅勤務実施733名

30代では、【専用空間】が欲しいと答えた割合が54%と、20代よりも高い数値となっています。育ちざかりのお子さまがいる場合には、はしゃいだりして仕事の邪魔になり、専用スペースが欲しいのかもしれません。また、パソコンや書類などを汚されないよう、マルチスペースに置かないようにしたいケースも考えられます。

一方、20代では【マルチ空間】を志向する場合が多いようです。賃貸での二人暮らしが多く、専用スペースをつくるだけの空間がないことや、乳幼児を見るためにマルチスペースが良いというケースが考えられるでしょう。

テレワークの世帯が増えると、いままでとは異なる点が気になることも。アパートやマンションの場合、日中家にいる世帯が増えることによって上下左右のお宅の生活音が響き、騒音トラブルになったり、換気のために開けている窓からビデオ会議の音声が聞こえしまったりして、プライバシーが守られないという問題にも注意する必要がありそうです。

戸建て住宅なら、隣人の生活音に悩まされることが少なく、一般的にはアパートやマンションよりスペースが広いため、ワークスペースが取りやすいというメリットがあります。大空間のある間取りなら、マルチスペースを用意するのはお手のもの。必要に応じてパーテーションで仕切り、テレワーク用スペースを作ったり、カウンターを後付けしてデスクにしたりする‥など多様な選択肢が広がりそうです。

テレワーク(在宅勤務)
スペースの条件

実際に、ご自宅でテレワークをされている方々は、どんな場所で仕事をしているのでしょうか?

在宅勤務で主に仕事をする場所
(2つまで)

下の説明を表すグラフ

(株)住環境研究所「在宅勤務の実態と意向」調査(2020年10月実施)
あなたが在宅勤務しているときに、主に仕事をしているスペースはどこですか。上位2つまでお答えください。
対象:全国20〜59歳の既婚男女の在宅勤務実施733名

調査結果をみると、ダイニングテーブルで仕事をされている方が圧倒的に多数を占めています。作業用のテーブルや書斎を使用する方がいる一方で、ベッドルームや和室など、本来PCで作業をすることが想定されていない場所でのテレワークも目立ちます。ご夫婦の在宅が重なりがちな共働き世帯では、なお一層スペース不足が問題になりそうです。

最後に、こういった問題を解決できそうな“快適なテレワークを実現する間取り”をご紹介しましょう。1Fの集中できる書斎、2Fのオープンスペースのカウンターで専用スペースを確保。身体を伸ばしたり、新鮮な空気に触れたりするリフレッシュスペースを室内、バルコニーなどに設けたプランです。

快適なテレワークを実現する間取り 1階
快適なテレワークを実現する間取り 2階

1F面積:80.66m²/2F面積:61.16m²/延床面積:141.82m²
想定家族:大人2名、子ども2名

A:
在宅勤務後の余暇時間に、軽く汗を流せる「うちジム」。
B:
在宅勤務やお子さまの勉強に使えるスペース。仕事をしながら宿題をみてあげることも。
C:
会話を聞かれたくないWeb会議や一人で集中して作業をしたいときの書斎です。
D:
外の汚れを家に持ち込まないよう、手洗いや上着・カバンを置くスペース。
E:
家族の気配を感じながら、仕事ができるオープンワークスペース。

このように、テレワークを想定した住まいにしておくと、災害等で通勤が難しい場合や、育児・介護等、家庭の事情で在宅勤務をせざるを得ない場合にも役立ちます。これからは、「家で働く」を選択肢に持った住まいがスタンダードになりそうです。

くらしとすまいラボは、セキスイハイムの調査研究機関である
住環境研究所の調査結果に基づいてまとめられています。