はじめに
高齢者住宅を経営・運営される事業主のみなさまへ。
東日本大震災でお亡くなりになられた方の、65%が60歳以上の高齢者だったことを御存じでしょうか?
さらに60代、70代、80代以上と、高齢になるにつれて犠牲者率は増えています。
津波被害から逃げたり、脱出したりする困難性が、加齢により影響したものと考えられます。
私たちは、地震大国「日本」に暮らしています。
行政の力だけでは災害から高齢者の方を、スタッフ様を守ることはできません。
これからの高齢者住宅を考えた時、「減災」を意識した経営は必要不可欠です。
被災することを念頭において、いかに生きていくか、その知恵が問われています。
施設の耐震性を高めることも一つですし、地震に対する知識を活用することも、ライフラインが途絶えたときの対処方法も、きっと役立つことでしょう。
みなさまの減災活動が、数多くの命を救うことになるのです。
今後、みなさまにお伝えする内容が、明日来るかもしれない「もしもの時」、役立つことを願っています。
河田恵昭氏 Profile
京都大学名誉教授。関西大学社会安全学部・社会安全研究センター長・特別任命教授。工学博士。専門は防災、減災、縮災。阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター長(兼務)のほか京大防災研究所長を歴任。21世紀COE拠点形成プログラム「災害学理の解明と防災学の構築」拠点リーダー。大都市大震災軽減化プログラム(文部科学省)研究代表者。南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ座長。熊本地震有識者会議メンバー。(2019年3月現在)