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「京都議定書」を住まいの視点から読み解く 〜CO2 6%削減には家庭での対策がカギに〜
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CO2の6%削減は不可能?
 今年2月16日、京都議定書がついに発効となった。目標は第一次約束期間(2008〜2012年)における温室効果ガス排出量を1990年比で6%削減すること。しかし、2002年度現在の同排出量は削減どころか同7.6%も増加しているのが現実だ。現在、進められている対策のままでは2010年に同6%増が見込まれており、さらに一段踏み込んでの対策を進めない限り、せっかく発効した京都議定書も、その目標達成は不可能と言わざるを得ない。
 温室効果ガスのほとんどを占めるのがCO2である。エネルギー起源CO2の排出量を部門ごとにみてみると(2002年度実績)、最も多いのが「産業部門」で全体排出量のほぼ四割を占めるが、次いで多いのが家庭部門を含む「民生部門」の30.9%だ。しかも「産業部門」の排出量は減少しているが、「民生部門」は同33.0%も増加しているのである。「家庭部門」、つまり普段の生活を通じて排出される量だけをみても同28.8%増と3割近い増加である。CO2排出の削減を真剣に考えるとき、この「民生部門」の削減が大きな課題であることは間違いない。
次世代省エネ基準クリアを50%に
 こうした状況のなかで、地球温暖化対策推進本部が「京都議定書目標達成計画案」をまとめた。“90年比6%削減”という目標達成に向けた分野ごとの省エネ対策を示すものである。同計画において、「家庭部門」の2010年度時点の目標は1990年度比「プラス6%」。2002年度に28.8%増となった数字を6%増まで落とすのであるから(22.8ポイント減)、簡単に達成できる数字ではない(下図参照)。

算定結果 基準年(1990年度) 2002年度実績 2010年度の各部門の
目安としての目標
A B (B-A)
A
C (C-A)
A
100万
t-CO2
100万
t-CO2
部門毎の基準年比増減率 100万
t-CO2
部門毎の基準年比増減率
エネルギー起源CO2 1.048 1.174   1.056  
産業部門 476 468 (-1.7%) 435 (-8.6%)
民生部門 273 363 (+33.0%) 302 (+10.7%)
(業務その他部門) 144 197 (+36.7%) 165 (+15.0%)
(家庭部門) 129 166 (+28.8%) 137 (+6.0%)
運輸部門 217 261 (+20.4%) 250 (+15.1%)
エネルギー
転換部門
82 82 (-0.3%) 69 (-16.1%)

 それではどのように家庭におけるCO2排出を抑制していくのか。
大きく、
(1)住宅の省エネ性能の向上
(2)住宅製造事業者、消費者などが連携した住宅の省CO2化のモデル的取り組み
(3)HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の普及
・・・という3つがあげられているが、特に住宅建設やリフォームなどを考えている消費者にとって関係の深いものを取り上げてみよう。
 まず、「住宅の省エネ性能の向上」で次世代省エネルギー基準の新築住宅での適合率50%(2008年度)という目安を掲げる。次世代省エネ基準とは大雑把に言うと、現状、国が示している住宅の省エネ性能の目安として最高レベルのもので、住宅性能表示でいうと最高等級の4等級レベルである。現状、次世代省エネ基準の普及率は新築で2割前後とみられている。

全国を細かく分類して定められている、次世代省エネ基準。
セキスイのツーユーホームでは、寒さの厳しい東北北部の基準となるQ値=1.9、C値=2.0を標準仕様としています。
  また、住宅の断熱性向上の点では開口部断熱の品質性能表示制度も行われる予定。窓ガラスの複層化(複層ガラスを使用することで断熱性が高まる)が遅れている集合住宅での普及を促進することが主な狙いだ。
 IT活用の取り組みとしては「HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)の普及も進める。同システムは家庭でのエネルギー使用の状況をリアルタイムに表示し、また、室内状況に応じて照明や空調などをコントロールしてエネルギー使用を管理するシステムだ。
 設備機器では、エネルギー消費量の割合が高い給湯器分野に注目し、CO2冷媒ヒートポンプ給湯器、潜熱回収型給湯器、ガスエンジン給湯器といった省エネ給湯器の導入に対する支援などを行う。
 世帯数の増加がゆるやかになってきたにもかかわらず、家電保有台数の増加などによってCO2排出量が増加し続ける家庭部門。そのエネルギー消費を減らすために住宅の省エネ化が担う役割は大きい。
融資や補助でインセンティブを
 環境対策が大切なのは分かるが、それなりにコストもかかるのでは・・・消費者の正直な気持ちだろう。国では、そうした視点からも住宅の断熱化の促進や省エネ機器の導入を進めるための様々なインセンティブを打ち出している。
 住宅金融公庫では新たに「優良住宅取得支援制度」を立ち上げ、この6月から運用を開始した。同制度は省エネなどの性能に優れた住宅に対し、住宅ローン「フラット35」の融資金利を当初5年間に限り0.3%優遇するもの。先に紹介した次世代省エネ基準をクリアすることが条件だ。
 また、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構では「住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業」を行っている。給湯機器や空調機器、太陽光発電システムなど同機構が指定した省エネシステムについて、その費用の1/3を補助するものだ。新築については次世代省エネ基準をクリアし、かつ消費エネルギー量を15%以上削減すること、既存住宅では使用エネルギー量を25%以上削減できることが条件だ。省エネ機器の導入だけでなく断熱リフォームを組み合わせてもよい。外壁やガラス、サッシ、ドア、床、天井を次世代省エネ基準レベルに断熱改修することで補助が受けられる。
 これら以外にも、行政では住宅の省エネ化を図る観点からさまざまな制度を進め、また、立ち上げようとしている。住宅を新築する時、また、リフォームしようとする時に、こうした制度を上手く活用すればコスト的に大きなメリットを生むことができる。
快適な住まいの実現が環境にも貢献
 もう一つ忘れてはならないのが、住宅の省エネ化は環境対策という社会的な意味だけではなく、居住者にとってより快適な暮らしを実現できるということだ。住宅の断熱・気密性を高めることで住宅内の温度差がなくなり、窓ガラスの結露を防止することができるなど、より快適で健康的な居住空間を実現できる。また、省エネ機器を活用することで光熱費を減らすこともできる。一挙両得どころか多くのメリットが期待できるのである。さらに言えば、太陽光発電やオール電化機器などを上手く組み合わせることで一年間の光熱費をゼロにすることさえも不可能ではない。
 これからの住まいづくりは“環境”が大きなポイント。一層快適な住まいを実現することは、環境負荷低減という社会的にも大きな意味を持つ。住宅を計画するとき、リフォームを考えるときには、そうした視点から業者に相談してみてはいかがだろう。
IHヒーターなどのオール電化機器を使用することで、省エネ&光熱費ゼロを実現。
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